第1章

8/19

62人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
ドキドキする胸と震える指を落ち着かせながらアプリを開き、説明ボタンをポチッと押す。 “あなたの要らない時間を、その時間を 必要とする人へ。” そう、始めのページにキャッチフレーズが でてきた。なるほど。制作者はそういう意図でこのアプリを開発したんだな。 素直に驚き、感心する。 でもこのアプリを制作した、ミラグモ株式会社はその全貌と仕組みを明かしていないらしい。 本当にこのアプリを作った人は凄い。 時間を自由自在に操れるようにしたんだ。 世界中の「時間は皆平等に与えられている」 という概念を覆したんだ。 やや興奮気味になっている僕は、 深呼吸をして画面をスクロールし、 使い方を確かめる。 “例えば授業にでたくない高校2年生と、 大学受験を控えているのに高校2年生の頃の 授業を忘れてしまった高校3年生がいる とします。そして高校2年生の子が その時間を出品し、高校3年生がその時間を 買えば、高校2年生の子は売った時間を 寝て過ごしたことになり、高校3年生の子は 授業を受ける事ができます”
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加