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太陽が斜めに上り、青い闇の中に光が差す。
理想の小鳥のさえずりとは真逆に、
朝っぱらから蝉の鳴き声が聞こえてくる。
目が覚めると学校に行くまでまだ時間に余裕
があった。寝ぼけながらスマホを開くと、
それは代わり映えのない画面。
通知はなかった。
兄ちゃんはどうしたんだろう。
兄ちゃんとの会話をチェックするけれど、
僕が昨晩心配して送ったメールで
終わっている……と思った。
しかし驚く事に、メールは送れていなかった。
再送ボタンを押してみるけれど、送れない。
不安になり電話をかけてみる。
トゥルルル…トゥルルル…。
ただただ耳元で発信音が鳴り響く。
応答の気配がない。
何かあったのだろうか。
嫌な想像が頭をよぎる。
いや、兄ちゃんなら大丈夫だ。
きっと大丈夫。
そう言い聞かせながら、
静かな部屋で学校に行く支度をする。
黒くて地味な制服に身を包み、
リュックの中を確認する。
あ、プロット用のノートを忘れてた。
思いついた事をすぐに書き留められるように
僕はリュックにノートを入れ、
制服の胸ポケットにメモを入れる。
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