第1章

11/19

62人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
* 本を書くようになったのは 小1の頃だったと思う。 昔は頭の中で、幸せで夢のような世界を 空想するのが大好きだった。 自分の気持ちを思うがままに本にぶつけて、 それを読んだ人が僕の気持ちを読み取る。 まるで手紙のようなやりとりをしている ように感じて、僕は本を書くことが 本当に好きな少年だった。 母が有名な小説家だったから、 たまたまテレビで、僕の書いた絵本が 「東雲 史子の息子の本」 として取り上げられたんだ。 母は自慢気にテレビに出したが、 当時の僕の作品は、とても人に見せられた ものではなかった。 おかげで、 「ありえなっ!センスなすぎじゃね?」 「子供のお遊びですね。テレビにだすな。」 「夢が大きすぎて草。ストーリーキモい」 など心無い批判がネット上で飛び交った。 それは矢のように、鋭く牙を剥き、 僕の心に突き刺さった。 僕は声をあげて泣いた。 けれど、すぐに立ち直った。 だって本に命を懸けているような 作家さんとは違い、 趣味で書いていたのは確かだったから。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加