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ゆっくりと腰をあげ、呼吸を整えて
辺りを見回す。
すると、またもや人が消えた。
トラックを運転していたおじさんが、
突然眠るように目を閉じて、
透明になっていく。
僕は目を見張った。
トラックの中には人がいなくなり、
信号の前で動かなくなっている。
その背後にいる車に乗った
若い男性がスマホ片手に苛立たしげに
クラクションを鳴らすも、トラックは
動かない。それどころか、
その若い男性までもが消えてしまった。
夢なら今すぐ覚めてほしい。
こんな世界は怖い。
一体どうなってしまったのか。
視線を足元に落とす。
深呼吸をするが、ここにいるのが怖くなって、
学校に向かって駆け出した。
走りながら、ただただ思う。
僕は今どこにいるんだ。
何の世界を見ているんだ。
ここは一体どこなんだ。
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