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その時だ。
階段から大きな足音が聞こえてきた。
トントントンとリズミカルにこちらに
近づいてくる。
僕とは逆に、周りを全く気にしていない
かのような足音だった。
心臓が高鳴る。
ただ息を潜めて、教室の中心に立っていた。
そして動けなくなっている僕がいるこの教室
のドアが、勢いよく開かれた。
バシンっ!と音が鳴る。
「…⁉︎」
開けた人はドアからひょっこり顔を
覗かせた。女の子だった。
そして突然へなへなとそこにしゃがみ込んで、
へへっと笑った。
その顔は安堵に満ち溢れていたんだ。
「君は…」
そう、僕のクラスメイトだった。
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