第2章

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ポニーテールになった彼女はまた雰囲気が 変わった。 ま、素の感じだ。 活発で良く笑う人。いや、笑顔しかない人。 さっきの涙は嘘のようにも思えてしまう。 僕が両膝を抱え、 体育座りをして色々考えていた時だ。 「東雲翔君…。どうか、どうか私と 付き合ってくれませんか⁉︎」 ・・・・・・??? 「…ごめん。今なんて…?」 つい頭がくらっとして、 慌てて左手でバランスをとる。 危なかった。 …一体今この人は何を言ったのだろう。 空耳かな。僕は思わず、目を見開き 今聞こえた言葉の訂正を待った。 長い沈黙が流れる。 僕らは互いの目をじっと見つめ合った。 相手が何を考えているのか探りあっていた。 だが、初めて話すに等しい僕らは、 全く相手の考えなど分かりはしなかった。 気まずい沈黙を破ったのは彼女の方だった。 「あはは! 突然変なこと言っちゃってごめんね! 忘れて〜」 さっきと同じように笑っているように思えて、 さっきとはうって変わったような笑顔が 顔に張り付いている。 またもや沈黙。 まだ彼女は笑顔を作っているものの、 やはり段々と口もとが引きつり、 彼女の瞳には明らかに違う感情が映っていた。
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