第2章

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二人とも段々と目線が下がっていく。 蝉の鳴き声しか聞こえない。 「君はどうして…?僕らは関わったことない じゃないか。」 「うん…うん、そうだよね。説明する。」 そう言って彼女はぽつぽつと言葉を拾い上げる ように話し始めた。 「私は、幼稚園生の頃家族を事故でなくした。 酔っ払ったおっさんの車にぶつかられたの。 正面からぶつかってきたから、運転していた お父さんと助手席に座っていたお母さんには は、窓ガラスの破片が突き刺さって、 血が吹き出した。」 彼女は顔をしかめて涙目になる。 今も鮮明に覚えているのだろう。 「けどね、何よりも母が膝の上にいた香乃(この)の事を必死に庇ってるのをみた。 だから香乃は助かった。でもね、悠香(ゆうか)は…。」 香乃と悠香は双子の女の子らしい。 当時3歳だった彼女達は、花井さんと3歳差の 姉妹なのだそうだ。 事故で姉妹が…? 「悠香さんはどうなったの…?」 一筋の光る水滴が彼女の頬を伝った。 さっきと全然違う涙だった。
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