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「ごめん…。今はまだ言えない。」
「わ、分かった…。」
有無を言わせない彼女の表情に
僕は目を泳がせながら、しょうがなく頷く。
「ま、しょうがないかー!
こうなったら意地でも君に私を
好きなってもーらおっと!」
うん?
一体この方は何をおっしゃっているのでしょうか。
一気に思考を取り戻した僕は冷ややかな視線を彼女に向ける。
でも、彼女はそんなことにも気付かずに
また空を仰いでいた。
本当に青い空。
なんだかちょっと心が躍る。
さっきとは変わって、今度は
どこかの家の風鈴の涼しげな音、
飛行機が飛ぶ音、色々な音が聞こえてきた。
空には白い入道雲も浮かんでいて、
夏を感じる。
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