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あれから数日経ってまだ何が起きているのか
分からなかった僕らはとにかく遊んでいた。
けどやはり心のどこかにモヤモヤとする
渦が巻いていた。
そんな時新しく施設に入ってきた女の子に
会ったんだ。
多分僕より年下だと思う。
小さな身体はか弱そうだったから。
その子はとにかく泣いていた。
「なんで泣いているの?」
「…かじょくぅ…いないぃぃ…」
この時僕は初めて知ったんだよね。
ここは親がいない人達が来るところなんだって。そして僕と兄ちゃんもその一員なんだなって。特にショックはなかった。なんでだろうか。もしかしたら兄ちゃんのおかげかもな。
兄ちゃんは只々不安そうな表情だったから、
僕と二人でいるのは不安だっただろう。
けれどそんな事を考えるより、
僕の思考はこの女の子をどう泣きやませようか
という考えで埋め尽くされた。
僕は女の子に
「ちょっとまっててね!」
と言って姿をけす。そして、すぐに戻った。
絵本を片手にね。
そして彼女の小さな背中をさすり、
その子の名前を聞く。
ちっちゃい声で
「こにぃ…」
と返ってきた。珍しい名前だなぁと思いつつ、
僕はその本を読み始めた。
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