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それは、今まで僕が食べたことのない色。
なんで黄色なのだろう。
僕は涙の色が好きなのに。
あのブルーな世界が良いのに。
僕が戸惑っている間にも彼女は青色の飴を
包装紙から出していた。
彼女の小さい手のひらに飴が転がる。
「今日はいい天気だ。
それを太陽にかざしてごらん?」
言われた通りに太陽に飴をかざした彼女は叫んだ。
「うそ⁉︎何これ⁉︎」
「な、すごいだろう?」
飴を通した太陽は、滲みつつも眩いくらいの
光を放ち、僕らは目を細める。
そのまま辺りを見渡すと、ぼやける信号、
青いコンクリート、青いベンチ。
それは、涙を流した時の世界ときっと同じ。
ブルーに見える世界は、僕の切ない心をえぐる。でも彼女は違うようだ。
「私はやっぱり、いつも変わらないこの青空が好きだなー。」
「確かに青空はいつも青いね。」
飴をかざしても、涙を流しても、いつも青い空はブルーだった。
けれど、やはり悲しい色にはならないのが、この空だった。
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