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彼女は再び芝生にごろんとねっ転がる。
「今君、ごろんとか思ったでしょ⁉︎私はころんですぅ!」
「残念ながら僕にはそうは見えなかった。」
「いつかそれを言ったことを後悔させてやる!」
そして彼女は笑い声を高らかに響かせていた。
僕も彼女の隣に座り、もう一度手を開く。
黄色い。
「あ、今度は私の番!」
「はい?」
「黄色い飴、空にかざしてみて?」
僕もさっきの彼女と同じように
言われた通りにする。
嘘だろ…。
黄色い飴を挟んだ世界は、黄色かった。
そのくらいはわかるのだが…。
その世界はひどく眩しい。青より眩しい。
「東雲君、これも涙の色だよ。今の私の涙の色。君の涙は青いかもしれないけど、私の涙は黄色いの。」
先程とは違い、今度は黄色いコンクリート、
黄色いベンチ、そして黄色く輝く彼女が僕の目にはうつった。
「黄色い涙…。」
「そう。私は黄色い涙。」
なぜ黄色い涙なのか。
彼女は教えてくれなかった。ただ微笑んでいて。
「いつか分かるよ。」
そう一言だけ答えた。
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