第3章

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「…ん?」 パチッと大きな目を開いて、僕の顔を見た彼女は、眠そうに、でも不思議そうな顔をした。 「…東雲君どうしたの?」 「なんで、なんで君が知っている!?」 彼女はよく分からないといった表情だ。 それもそうだろう。寝言だったんだから。 「まさゆきってなに?なんで知ってるんだよ!」 僕は明らかに取り乱していた。 バスの運転手さんが、ミラー越しにこちらを見ているのが分かる。 彼女は…彼女は、状況が呑み込めていないようだった。 「さっき寝言で君が言っていたんだ!思い出せば昨日だって言ってなかったか?まさゆきって、俺の父さんの事じゃないのか?」 その瞬間、サッと彼女の血の気が引くのが分かった。目を見開き、なんというか…。絶望が溢れたような顔をしていた。
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