第3章

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「私が昔事故で家族をなくしたのは話したよね。実はそれには続きがあって…。追突してきた車の運転手は、その後逃げたの。」 「ひき逃げ…。」 酷い話だ。 「もちろん当時幼稚園生だった私は、ただ妹を 守れなかった自分を憎んだ。 だけどね、少し大きくなってから過去を振り返ってみると、ふと思ったの。悪いのって、ひき逃げの犯人じゃないかって。酒に酔ってたっていう噂もあるし…。日に日にその気持ちは強まった。あはは……!私って最低だよねっ!自分のせいで妹がいなくなっちゃったっていうのにさ!人のせいにしちゃって!」 彼女は自虐的に笑った。 「そんな事ない!」 僕は咄嗟に叫ぶ。 「君は、悪いことなんて何もしていないじゃないか!そんな自分のこと責めるな!」 責める相手は花井さんではなく、犯人だ。 「ありがとう…。でも、でもね…君もそうは言ってられなくなるよ。」 「え……?」
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