第3章

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「……っ!」 僕と彼女は同時に破顔した。 「こんなこと君に言いたくなかった。ごめん……ごめん……。」 僕は息を呑み、言葉を失う。 自分の父親が、他人の人生をぶち壊していただなんて……。 信じられない。いや、信じたくない。 目の前で俯きながら泣いて謝る花井さん。 バスの中にその泣き声だけが響きわたる。 僕は……僕は、いくら父親だとしても許せない。 ただただ怒りに震えていた。 そんな父親から産まれただなんて…。 「……ごめん。僕は君と関われないよ…。」 左下に目を逸らしながら言った。 「……うん。それはそうだよね!あはっ!ごめん……ごめん……ごめん、なさい…。」 彼女に目から涙がぽたぽたと落ちる。 それは彼女の青いワンピースを濡らし、滲ませた。
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