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息を切らして走りながら思う。
行く決意はしたとして……
バスの終点ってどこなんだ!?
僕はとにかく前を目指した。
あの時バスさえ降りなければ…
彼女に背を向けさえしなければ良かったのに。
でも、もう後悔しても遅かった。
結局彼女の事はどこへ行っても、
見つけられなかった。
新宿のどこへ行っても。
足がもげそうになるまで走っても。
あんなに届きそうな距離にいたのに、
今は見失ってしまったんだ。
僕は息をきらしながら、次のバス停を探した。
走って…走って…走って……。
ただ前に向かって走った。
「はぁ…はぁ……。どこにいるの……?
……どこにいるんだよぉーーーーーーー!」
その声は閑散とした新宿に響き渡った。
だけど……だけどやはり、
返事は聞こえなかった。
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