第4章

4/29
前へ
/88ページ
次へ
息を切らして走りながら思う。 行く決意はしたとして…… バスの終点ってどこなんだ!? 僕はとにかく前を目指した。 あの時バスさえ降りなければ… 彼女に背を向けさえしなければ良かったのに。 でも、もう後悔しても遅かった。 結局彼女の事はどこへ行っても、 見つけられなかった。 新宿のどこへ行っても。 足がもげそうになるまで走っても。 あんなに届きそうな距離にいたのに、 今は見失ってしまったんだ。 僕は息をきらしながら、次のバス停を探した。 走って…走って…走って……。 ただ前に向かって走った。 「はぁ…はぁ……。どこにいるの……? ……どこにいるんだよぉーーーーーーー!」 その声は閑散とした新宿に響き渡った。 だけど……だけどやはり、 返事は聞こえなかった。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加