第4章

6/29
前へ
/88ページ
次へ
明かりのついた家の前。 兄ちゃんの部屋の二階の小さな窓を見上げる。 きっと何時間後かの未来にいる兄ちゃん。 また会いたいのに、 僕がその希望を崩したんだ。 鍵をドアにさし、ガチャっと音を鳴らす。 ドアノブを自分側に引く……はずだったが、 引けなかった。重かった。 過去や現実に押し潰されそうな僕には開けることが出来なかった。 まだ家に帰ってきてはいけないと言われているようだった。 一呼吸おき、僕は暗い道を再び戻り始めた。 過去を戻るように。 ただ前に足を進めた。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加