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はたして、君はそこにいた。
そこは、暗い闇に包まれた中、月の下、
一箇所だけ眩いスポットライトを浴びている。
あの公園だった。
あの日と変わらず、大樹の下の芝生の上に仰向けになっていた。
でも君はあの日と違う、切なく儚い表情。
僕はゆっくりと後ろの方から近づき、
花井さんの隣に座った。
すると僕は目を見張ることになる。
つーっと一筋、
月の光を吸収した雫が彼女の頬を流れた。
月を見上げる彼女の瞳は、揺らいでいて、
僕と同じように過去と現実に押しつぶされそうだということが一目に分かった。
「……ごめん…………。ほんとに、ごめん……。」
彼女のセリフ。でも僕の心の声。
互いに相手を思ってした決断に後悔する僕ら。
「君が謝ることじゃないんだ……。」
「……違う。私があんな事言わなければ、
君を、東雲君を傷つけないで済んだのに……。」
そう話す彼女の表情は、
やはり後悔の色で塗りつぶされていた。
「……僕は君に傷つけられた訳じゃないんだ。」
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