第4章

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だから、あの日私は怖くて怖くてー何が怖いのかも分からなかったけどー泣いていた。 そんな時に同い年くらいの男の子が本を読んで、抱きしめてくれた。 泣くな、笑え、そう言っていた。 自分よりも幼い子をあやすように、でも、不器用に。 あの出来事にどれだけ救われたことか。 次の日から笑顔、笑顔って自分に言い聞かせていたら、いつのまにか友達ができてた。 そしたら、ずっと泣いて施設の人にあやしてもらってた香乃が、いつのまにか一緒に遊ぶようになってた。 多分、生まれて初めての恋だったと思う。 幼いながらに。 その相手もまた、君だったんだよね。
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