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そんな事を思い出していたら、
テレビの音で意識が現実に戻った。
兄ちゃんに「おかえり」を言おうと思って
リビングのドアを勢いよく開ける。
が、そこに兄ちゃんの姿はなかった。
テレビはついているのに。
もしかしたら部屋で寝ているのかもしれない。
リズミカルな音をたてながら
階段を勢いよく駆け上る。
ドアノブに手を掛け、
もう一度バシン!と音をたてて
ドアを開ける。
「おかえり!!」
大きな声で言ったのに、
その声はドアを開けた音と共に
部屋に虚しく響いた。
トイレ、お風呂、ダイニングルール、和室…。
全ての部屋をチェックしたが、兄ちゃんは
見つからなかった。
どこに行ったのだろう。
そういえば、
さすがにバイトにしては帰ってくるのが
遅すぎる気がする。
何かあったのだろうか。
心配になり、一応メールを送っておく。
けれどどんなにスマホを片手に待っていても
結局返信は返ってこなかった。
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