第4章

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バスや電車の中では前回とは違い、 二人で会話をした。 今度は、未来のことについて。 「ねぇ、君は将来何になりたいの?」 ふと気になって僕は口を開く。 「え、私はね〜……ハニートラップが世界一上手い女性かな!」 そんなの職業じゃないか。まったく…。 「はいはい、そうですか。真面目に聞いた僕が馬鹿でした。」 こっちは本気で気になったのに。 「ごめんって!私はね……新聞記者になりたいんだー!」 「新聞記者?」 意外な言葉に驚く。 「真実を文に書き起こして、正確な情報を伝えられるってかっこいいと思わない?」 なるほど。小説を書く僕とは真逆の考えだ。 「なんでなりたいと思ったの?」 「それは……。」 彼女が口ごもる。 「あ、別に言いたくないならいいんだ。」 少し張り詰めた空気が立ち込める。
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