物質との傳達意思

1/1
前へ
/1ページ
次へ
 或る時地元の緑地公園のベンチに腰掛けてゐると、坊主頭の高等學校生らしき青年が公園の廣場で、(※1)蹴球を市が拵えた三角錐のモニュメントに向けて蹴る練習をしてヰた。 彼の蹴った球は綺麗な曲線を描いている、變化球と云うべきであら(ろ)うか。 此れは相當時間を費やしたのではないか、否待(いやま)て、喩え練習したとしても方法次第であり、發達が欠如した物の場合だと何も變わりゃしない。 然し綺麗な曲線を描けるのには何か所以がある筈だと。 其處(そこ)で考えついたのは"物を思い通り作動させるには、物の性質を理解せねばならぬ。畢竟(つまり)、會話又は人間關係を構築するのと同等である。" 喩えば、相手が音樂に興味があれば、其れに合った話をしてあげる、 相手がチョコレートが好きであれば、土産で買ってあげる、 此のように相手との調和を促す事で、自然と構築されてゆくのである。 其れを踏まえると、實はスポゥツも同じだと云ゑよう。  蹴球の場合、どのように蹴ると曲線を描くのか、野球の場合、投手はどのように投げると速い球を投げれるのか、打者はどのようにバットを振ると(※2)ビッグフラィを打てるのか、(※3)孔球の場合、どのようにドライバーを振ると球が遠く迄跳ぶのか、陸上の場合、どのように足を動かせば速く走れるのか。 どれも採ってみると、物理學(殊に力學)が必ず關与してくる。そうなれば、スポゥツを征する者は物理を征すと云っても過言ではない。 勿論どの様な分野でも必ず物理の各項目を要することも忘れてはならぬ。 注釋 ※1蹴球:Soccer(サッカー) ※2ビッグフラィ:Big Fly 、外國で云う「ホームラン」 ※3孔球:Golf(ゴルフ)
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加