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僕はしがない大学院生だ。
去年の3月に工学部を出て、やっと院に入ったかと思えばもう就活三昧の日々…
一体日本の経団連と文科省は何をやっているのだ、研究をする暇もなくかと言って院に行かなければ研究職には就けない。
そんな矛盾がまかり通っていいものか、いやそんなことより僕のモラトリアムはどこに行った。もうやってられるか
そういうわけで僕の高校からの友人を飲み屋に呼びつけた。
「大体就活というものは学生の足元を見過ぎではないか。金のない学生を面接に呼びつけたと思ったら交通費も出さないじゃないか」
おまけに内定もくれない、ここは言葉を飲み込んだ。
「まぁまぁ、気持ちはわかるけど。でもそんな捻くれたこと考えてるから内定出ないんじゃない?」
う、痛いところを突かれた。
というかなぜ彼は知っているのだろうか…
無邪気な顔で本質をつくのは彼の悪い癖だ。
「将来稼いで、交通費なんて何とも思わないくらいになれよ」
随分なことを言ってくれる。
「さすが内定者は言うことが違いますわ」
「あれ、話したっけ」
なんだって。
お前もつい先週まではダメだー!と威勢よくビール瓶を机に叩きつけていたじゃないか。
「そうそう、田村興業決まったんだよね」
お前だけは…最後まで僕の味方だと思っていたのに…
激しく自尊心を傷つけられた僕は泣きながら飲み屋を飛び出した。
よし、今日はお前の奢りな。
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