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合流したというメールを送るため、各々が携帯で打ち始め一斉に無言になった。
「あれ?これどうすればいいんだっけ?」
私がそう呟くと、
「これですか?ここを押せば大丈夫ですよ。」
答えたのは、隣の後部座席に座る、体は痩せているのだが本当に大人なのか?と思うくらい童顔な男だった。
ここは18歳以上が出来る仕事なので、もしかして10代なのかな?
私はただの独り言で、回答を求めた訳では無いのに••••。
「あ、ちょっと、大丈夫。」
指に触れてこようとしたので接触はこのご時世避けたい傾向にあったし、男性経験は多いわけではなかったのだ。その指を払い除けてそう言った。
私は冷たい人間だった。
「ごめんなさい。分かりますか?」
男は私との距離を取る。
「大丈夫、ありがとう。」
本当は困っているのに、助けて貰いたくないと見栄を張る悪い癖があった。
車はいつの間にか高速を走っていた。
助手席の男は足と腕を組みながら、タオルを頭に巻いて無防備に寝ていた。
「僕、この仕事10回目なんですよね。」
呟くように、私に話し始める。
「高校卒業で始めたとか?」
横目でその子を見ながら聞いてみた。
「そうです、今18歳なので。いつも通ってる学校があってそこにいつもは行ってるんですが」
やっぱり、18歳じゃないの。
予想は的中した。
「専門学校とかかな?」
「そうです、僕親が家を建てたりする人だったんで、そんな学校に通ってます。普段はプログラミングとか覚えたりしてるんですけどね。」
「へぇ、すごいね」
「あとはこの仕事、重たいもの持ったりするから。僕もっと力つけたいと思ってて。」
自分のことをするすら話し始める少年。
鋭い目つきは、何かに反抗するような目をしていた。
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