1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
空港に届いた段ボールの荷物みたいなものを運んで梱包するという単純な作業であった。
詳しく何をするかという事はまるで気にならなかった。
昔からそうだ。
詳しく知る必要なんてあるのかな?そんな風に今まで生きてきた。
昔仲が良かった近所の亜美ちゃんは、とっても綺麗で小学校でもモテモテだった。
家が近いからと、一緒に帰ろうなんて事を言われるのは良くあった。
ある時、亜美ちゃんと下校中に私の家の前にある空き地でバッタを探そうと言ってきた。
空き地には二人で作った大きな石や木で囲って、自分たちだけのテリトリーにした秘密基地も用意されている。
「バッタいたよ!!」
「さなぎちゃんすごい!貸して!」
私は亜美ちゃんに気に入られたくて必死で探したバッタを、亜美ちゃんに奪われてしまった。
亜美ちゃんは地面に置いてそのバッタを踏みつけ始めたのだ。
「こういうゲーム、楽しいでしょ?!」
笑顔でいうものだから、楽しいものだと思って自分も同じようにバッタを見つけては足元に置いて踏みつけるのを繰り返していた。
亜美ちゃんが笑っていればそれでいいし、それ以上疑問を持つこと自体間違っていると感じた。
「楽しかったね、さなぎちゃん!じゃあまたね!」
次の日学校で、亜美ちゃんが声をかけてくる事は無かった。
私にとって人がどうなろうが、まるでどうだっていいのだ。
最初のコメントを投稿しよう!