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「皆さん、これを使って作業をお願いします!」
現場の人たちが集まる中に、派遣された4人が混ざる。
無精髭のひょろひょろな男は、派遣された私たちにフェイスシールドを配る。
マスクを外して、メガネの様な耳に引っ掛けるタイプのフェイスシールドをつけ始める。
「軍手は持ってますね?ではこの辺りからお願いします。」
ポケットから軍手を取り出して、手早く装着する。
少年の軍手はボロボロだった。
フェイスシールドをつけて彼の顔がはっきり見えるようになった。
「お前、目つき悪いな、怒ってるのか?」
「いや、そんなんじゃないです。」
「体が小さいけど、若僧か?」
「若いな、マックで働いててもおかしくない顔つきだぞ」
「そうですかね」
同じ派遣会社ではない、現場のスタッフから何やらその少年は絡まれていた。
「もっと笑えよ、これよろしくな。」
少年に目をやると、段ボールとはいえ人が立った状態で入ってるのではないかと思うほど大きな荷物だった。
少年はどうにかして運搬しようとしていた。
周りのスタッフは助ける気配もなく、自分が持てるようなものを黙々と運搬していた。
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