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もう夕方というのにさっき起きてばかりの私。
名前は日置さなぎ。今年で27歳、ちなみに無職。かなりの出不精。
今日は夏の炎天下で、日中は40℃近くまで上がったそうだ。
いつもは、家の中で過ごしているものだから
クーラーをガンガンに効かせた豚小屋みたいな部屋に住んでいる。
両親は築30年のアパートの大家。私はそこに27年住み着いている。
住む場所や家賃には困らないのだが、この年になってもお金は親に一銭も入れていない。
「早くしっかり働いてちょうだい、それかいい人見つけなさい」
お母さんの頭の中は、この二択しか更生させる余地がないのだと考えているのである。
いま仕事と呼べるものとしては、派遣登録事務所に適当に印鑑とペンを持っていき名前と判子を押して、あとは適当に現場で働くだけ。
仕事終わりの従業員が乗るバスの中で、おじさんの汗臭いにおいに耐えながら、梅のグミとお弁当だけ買って家に帰る日々。
どうしても働けない場合は、実家の冷蔵庫にあるものを適当に食べて食い繋いでいた。
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