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そんなことを考えながらクラス割りが書かれているボードの前に来たとき、私には青天の霹靂が如く衝撃が走った。 いや、まあ、単純にビックリした。 「なにあかり?理知的な言葉を発してみたはいいけど、あまりに似合わなすぎて言い直した。みたいな顔してるわよ。」 「エスパーかおのれは!?」 「ふふ。あかりは直ぐに顔に出るんだもの。分かりやすくて好きよ。」 「ゆかちゃんそれ褒めてないでしょ?」 「ううん。とっても可愛いってこと。」 クスクスと笑う縁は恐ろしく綺麗で、見慣れた私ですらたまに見蕩れてしまう。 それが、まだ縁を見たことがないものならどうだろうか。 「うわっ!なにあの子、超綺麗じゃない?」 「おいおいおい。あの子だれだよ?新入生?」 とまあ、大体が似たような感じだ。 「それで?何にビックリしたの?」 「だから心を読まないでよ!?」 「ふふふ。私が読んでるんじゃなくて、どちらかと言うとあかりが差し出してくれてるんだと思うけど?」 言い合いで勝てる気がまるでしないので私は素直に何に驚いたのかを白状した。 「あそこのクラス割りを張り出しているボードの近くに、先生らしき人が居るでしょ?」 「ええ。」 「怖いなぁと思って…。」 私は怖かった。その人の恐ろしく鋭い眼光。まだ子供と大人の中間である高校生ではあり得ないガッシリとした体付き。加えて明らかに人一人は殺っていそうな雰囲気。 「確かに、教職についてるとは思えないほどの雰囲気を持った人ね。あかりの担任にはならないように祈っててあげるわ。」 それは多分無理だ。 「うん。ありがと。」 そして、まるで怒気の籠った様な目でこちらを捉えるとその男は近づいてくる。 私は観念した様に改めてその先生が近付いてくる方へと向き直り、気後れしないようにギュッとカバンを握る手に力を籠める。 突然だが、その男の名前は永見優ながみ まさる、27歳。教職歴5年。当然独身。 なぜ当然かと言うと、私にはその男を見ただけで簡易の履歴書のようなものが頭の中に浮かんで知ったのだ。 そうこの男、私の運命の相手の一人だったのだ。 それゆえ私は恐怖した。初めて運命と対峙したのだから。
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