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ーーー2005年、ニューヨーク。
ローズ・ギャレットはニューヨークの夜景を一望出来るホテルの一室に居た。
ベッドの相手は煙草を吸っている。
もう何度、此処で彼と逢瀬を重ねているだろうか?
30~35歳という女性としての花ざかりをローズは5年間、会社の上司エドワード・スミスに捧げてきた。
それは今も更新中だ。
エドワードは45歳で妻子持ち、つまりローズは上司と不倫関係という訳だった...
5年前に今のニューヨーク支社に赴任してきたエドワードととあるプロジェクトで一緒に仕事をしたのがきっかけで交際を始めた。
190cmの長身にそれとは対照的な犬のような人懐っこさがあり、そして彼はとてもハンサムだ。
エドワードも彼女のキラキラと輝くブロンドの髪に灰色の瞳、何処かミステリアスな雰囲気を持つ彼女に惹かれた。
ローズも最初こそ罪悪感を抱いていたが、人の慣れというものは恐ろしいもので交際を始めて一年も経たない頃には何も感じなくなっていた。
それどころか彼への愛情は増すばかりだったのだ。
そこに未来は無いと分かっていても___
...このシャワーの音が嫌い。
ローズはベッドで一人横になりながら、バスルームから聞こえるシャワーの音を聞いていた...
それはもう別れが近いからだ。
明日にはまた何事も無かったように会社では上司と部下という関係が待っているだけ。
彼女は目を閉じると、ふとある光景が浮かぶ___
それは黄金色に輝く麦畑だ。
何も無い片田舎...流れる時間はまるでそこだけ時間がゆっくりと流れているようだった。
自然と涙が流れる...
彼女は涙を拭うと、ベッドから起き上がり帰る支度を始めた。
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