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「..ねぇ、エド」
私の声は震えていたかもしれない...
「どうした?」
私は彼の瞳を見つめることしか出来なかった。
妊娠した事をエドワードに話したら、彼はどんな反応をするだろう...
私は怖かった..それでも言わなくてはいけない、お互いの為に..そしてお腹の子の為に___
「..私、貴方の子を妊娠したの...」
私は喉の奥から必死に振り絞るように声を出した。
その言葉を聞いた彼の表情は一生忘れることができないだろう。
驚きと唖然、良い兆候の表情ではなかった...
「確かなのか?」
石膏のように固まっていたエドワードが発した言葉だ。
「ええ..、生理が予定日から一ヶ月近く来てなくて、妊娠検査薬使ったら陽性だったの」
私の答えを聞いて彼は前屈みになり頭を抱えていた。
そして少しすると上体を戻し、私の方を向いた。
「..ローズ、費用は全額僕が負担するからお腹の子を堕ろしてくれないか」
「..!!」
私の頭の中は真っ白になった...
今日の今日、妊娠が分かったが確かに私のお腹の中には新しい生命が宿っているのだ。
エドワードの言葉はあまりにも残酷に聞こえた...
そしてこの時私は彼に対する愛が醒めていくのが自分でも分かった。
不倫という自分の立場は分かっていた..それでも彼の言葉が私には許せなかった。
「もう帰って..エドワード」
ローズは膝を抱えたまま、彼に帰るように発した。
「..本当にすまない。休んでいる間の十分な生活費と病院代の小切手を後日渡すから」
エドワードは彼女の頭にキスをすると、アパートを後にした。
その瞬間、彼女は声を出して泣いた...
これは不倫をした自分への罰なのだろうか?
それだったらお腹の子には罪はない。
ローズはそのまま目を閉じた___
あの麦畑や自然の匂いが甦る。
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