主人公は女性 42歳 画家 独身

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主人公は女性 42歳 画家 独身

a5ba6bb2-3120-4200-9b79-4228081ec262 北海道 岩見沢市 美流渡(みると)に移住して2年目の冬。 私は 42歳 独身 カレシいない歴42年の女性。 いまだに処女。 美大を卒業して 早や20年。 ようやく画家として生活できるメドが立った。  長年 間借りしていた神田神保町の古本屋街の日の当たらない6畳ひと間の生活を捨て 思い切って ここへ来た。 広い部屋で絵を描きたかった。 だけど お金がなかった。 安くて広い部屋なら どこでもよかった。 ただ それだけの理由。 この地は寒いけど ストーブをつければ それほど苦にならない。 広い部屋で 大きなキャンバスを何枚も立てかけ 同時に描くことができるのは最高だ。 真夜中まで大音量で好きな音楽を楽しむこともできる。 ただ 北海道は公共交通機関が あまり整備されていないため ここへ来てから車の運転免許を取り 安い中古の軽自動車を買った。 冬道の運転はスリップしたり積雪にハンドルを取られたり とても怖いけれど 街でいろいろな用事を足そうと思うと 車がなければ不便だ。 ゆっくり行けば大丈夫 と 自分に言い聞かせ 週に一度は街の大型スーパーまで買い物に出かける。 その日 天気予報で 曇りのち雪 とはなっていたが 早めに往復すれば何とかなるだろうと思い いつも通り買い物に出かけた。 買い物で思ったより時間がかかり 家路に着いたのが午後4時近くなってしまった。 雪が降り始めていた。 街を抜ける頃には かなり吹雪いてきた。 どこまでが道路なのか よくわからないまま運転していた。 ヘタに停車したら 車に雪が積もって 追突される可能性がある。 雪はいよいよ激しくなり 私は 正直 命の危険を感じながら 止まることもできず 徐行しながら ほぼ勘だけで運転していた。
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