とびきり甘いキスをして

女の子の秘密の時間

　先生へ

　今日も大好きです。甘いのが好きな先生のために特別甘くしました。食べてくれたら、嬉しいです。

　サユ

　無難だけど、悪くもないと思う。それに、先生にはもう何万何千回と好きを伝えた。答えてくれる気配はないけど。

　じじじっと唸っていたオーブンレンジがチンと軽快な音を立てた。覗き込めば、崩れもせずうまく出来ているようだ。

　最後の成功！　慌てて取り出したい気持ちを押さえて、ゆっくり慎重に取り出す。

　粗熱を取りながら、悩みに悩んで選んだボックスを組み立てる。先生のイメージカラーのネイビー。

　一息ついてから、粗熱の取れたガトーショコラをボックスに静かに入れる。紙袋に手紙とボックスをそっと入れて慌てて家を出る。

　ギリギリの時間になってしまった。でも、走らない。せっかくのガトーショコラを崩したくない。