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もう何も考えられずに、紙袋を渡す。ゆっくりと口に運ばれるガトーショコラ。
「ん、まぁまぁですね」
「ひどい」
「君にしては上手なんじゃないですか?」
くくくとまた喉仏を揺らす。そのままパソコンの前に戻って、イスへ座る。
「座んないんですか?」
「座りますけど、このチョコしまってもらえます?」
「要らなかったですか」
「他の子からのなんて……」
「誰が、他の子からって言いました?」
「え?」
先生の耳たぶが赤いのはきっと気のせい。先生の様子が変なのは、バレンタインのせい。
「君が好きそうなのが分からなかったからですよ。意味くらいわかるでしょう?」
次は、私の番だった。頬を染めてるのも、その笑顔も反則。いつもは、冷たいくせに。
先生に軽くキスすれば、真っ赤に染まった顔。
「大好きです、先生」
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