1 どうして俺が魔王なの?

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ダンジョンの最深部? 俺は、思っていた。 夢なら早く覚めてくれ、と。 確か、さっきまで俺は、普通に高校生だった筈だった。 まあ、いつもぼっちの低カースト高校生だったけどな。 俺は、さっきのことを思い出していた。 放課後に授業が終わって、みんな、それぞれに帰るなり、部活に行くなりする直前のことだった。 急に、足元が光ったのを、俺は、見た。 そして。 今、俺は、ここにいるわけだった。 まさか、かの有名な異世界召喚? それにしては、何かが変、じゃね? ここは、魔王城だと、さっきの鬼も言っていたし。 いや、マジでありえない。 俺が冷や汗をダラダラ流しながら玉座に座っていると、可憐な乙女の声がきこえた。 「どうされましたか?魔王様」 俺がその声の方を見ると、ゴスロリっぽい服装の赤い瞳に青い長髪の美少女が俺のことをじっと見上げて立っていた。 人間、だ! その上、マジで、かわいい。 天の助けとばかりに、俺は、少女の方へと駆け寄りすがるようにきいた。 「ここは、どこなんですか?俺は、なんで、ここに?」 「魔王様?」 少女がにっこりと微笑んだかと思うと、すぅっと額が割れて第3の目が開いた。 何? 吸い込まれる! 俺は、何かに頭の中を弄られるような感覚がして目の前が歪んだ。 何、この感覚? しばらくして何者かの手が俺の中から離れていくのが感じられ、俺は、その場に膝をついて荒い呼吸をしていた。 何があったんだ? 俺は、冷ややかな目で俺を見下ろしている少女を見上げた。 少女は、大きな透き通った声で言った。 「ヴィスコンティを呼べ!」 ビ、ビスコ? 何? 俺は、あわあわして周囲を見回した。 蔑むように俺を見下す三つ目の美少女に、無言で立っている鬼。 その2人の背後から長い黒髪に青い瞳の執事服を着た若い男が足音も高く歩み寄ってきた。 「どうされましたか?ビザーク、イオルグ」 「どうもこうもないわ。魔王様が錯乱されているご様子。お部屋へお連れするように」 三つ目の美少女が執事服の男に言うと、その男は、そっと俺の方へと手を伸ばした。 「どうぞ、お手を」 俺は、迷ったが、この場は、この男の手をとるしかないと思い、手を差し出した。
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