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Die Another Day
「なんでアンタみたいな優等生の人気者が辛気臭ぇ顔してそんな危ねーとこに突っ立ってんだよ」
そんな不機嫌を剥き出しにして問われても。
1年の頃同じクラスだった都倉 美吉は反抗的に染め上げた長い髪を風に泳がせ、その隙間で邪魔者を扱うように睨んでくる。
目の前にある金色は綺麗とはほど遠い。髪が今にも痛いと声を出すんじゃないかと思うし頭のてっぺんには本来の漆黒が覗く。
「で。高いところが好き…とかじゃねーよな」
丁寧とは言えない言葉遣い。制服だって一応着てるって喩えたほうが早い。目つきは最悪。
これでも彼女は俺と同じクラスだった頃は学園で一番の美少女だと騒がれていた。
長くて繊細な黒い艶髪、模範的な制服の着こなし、先生からの信頼も厚く、誰からも好かれるまさに絵に描いたような人気者だった。
そんな彼女が俺を人気者だと言う。皮肉にも聞こえた。
「キミこそどうしたの。学校来てるなんてめずらしいよね」
「質問返しかよ、だりぃなあ」
本当にだるそうな声で言われてしまう。
そして、よいしょ、と軽々フェンスを乗り越えてこっち側にやってきた。
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