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生まれた時から、僕には居場所がなかった。
物心のついたころから僕は、父さんや母さんに殴られた記憶しかない。
理由は単純に僕ができ損ないだからだ。
お父さんから課された宿題も100点を取れない。いつも点数が低いと怒られる。
運動会のかけっこも1位を取れたことがない。要領が悪いから。もっともっと練習しないと。こんなでき損ないの僕だから、両親に好かれるわけがない。頭でそう分かっていても一度でいいから僕は両親に褒められたかった。
その一心で、三歳にして初めて母さんの似顔絵を描いた。母さんと僕が手を繋いでニコニコしている絵だ。上手に書けたから母さんもきっと喜んでくれる。
そんな希望を抱いて僕は母さんの誕生日の日に絵をプレゼントした。
「お母しゃん、あのね!僕からのプレゼント!!」
頑張って描いたのだ。
少しでも喜んでくれたらいいな。
そんな淡い期待を胸に、クレヨンでぐちゃぐちゃになった手で僕は似顔絵を渡した。
「私にプレゼント?アンタから貰った物なんていらないわよ」
期待とは真逆の言葉を吐き、母さんは紙を破りゴミ箱へ捨てた。
「え?」
真っ白になって、何が起きたか理解できない。そしてようやく、自分がなんて浅ましいことをしてしまったのか気づいた。
母の期待に答えられないくせに、自分は何を期待していたんだ。
自分が愚かだと思った。
「父さん、今回の期末テストの結果です」
「学年3位だと?出来損ないが。くそっ、何故こんな馬鹿が家にいるんだ」
「…ごめんなさい。父さん」
「少しは春樹と美来を見習え」
「はい」
「相変わらず脳みそが空っぽのようだな零斗」
「あーん、お兄ちゃん可哀想。後で美来が慰めてあげるね!」
兄妹すらも1度も勝てたことがない。
ここで初めて、どんなに努力しても認められないということを痛感した。
※
「うっ、うぅー、ふうっ、ふぅんん」
「お兄ちゃんお兄ちゃん、見てみて!私、このゲームのルイ様推しなの!兄がヤンデレでね、監禁されて色々なプレイをされるんだけど‥」
「んんんんー!‥ふぅっ」
「その身に悶える姿がもうたまんないの~!‥って聞いてる?」
「ううっ、た、たひゅ、けて」
「はぁもう、全然聞いてなかったでしょ。…まあ仕方ないか、バイブ突っ込んでるし」
「‥お願い、、抜いて」
「えー!やだよー、お兄ちゃんこの状態が1番可愛いんだもん。だからさ、もっと美来のために喘いでよ、おにーちゃん。」
美来の唇が、そっと僕の唇に触れる。
僕の口内には、涎まみれになった美来のパンツがねじ込まれてあった。吐き出したいが、吐き出せばもっと酷い目にあう。僕は吐き気を抑え、口内に溜まった唾液を飲み込んだ。それでも全て飲みきることができず口から漏れた涎を美来がねっとりと舐めあげる。
美来の唾液が口回りにべとりとついて気持ちが悪い。
「はぁ、美味し」
腕が痛い。手足は縄でギッチギチに縛られていた。手は背中に、足はM字型に開かされている。いくらふかふかのソファーに座らせられているとはいえ、何時間と無理な体勢を強いられているため、痺れて感覚が次第に麻痺していた。
僕は誰1人としれ逆らうことは許されない。
逆らえばもっと酷い体罰が与えられるからだ。
今までそう、躾られてきた。
どうして美来や兄さんは両親に愛してもらえ
るのに、僕だけ愛してくれないの?
僕ができそこないだから?
もっと頑張るから、もっと良い子にするから、だから…。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん!はぁ、可愛いぃ。もっと喘いで。美来に色んな表情を見せて!!」
「ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"!!!?」
バイブの振動が更に強まる。
目を見開いたまま僕はボロボロと涙を流し続けた。それを見て興奮した美来は僕の流す涙をチロチロと舐めながらうっとりとした表情をこぼす。
生ぬるい感触が肌を撫でる。気持ち悪い。
ナカを容赦なく暴れまわられ、おびただしい量の白濁を放った。
「ああ大変。お兄ちゃんの、残さず飲まないと、美味しい、美味しい、美味しい、美味しい、美味しい!はあ、はあ、はあ、もっと、もっとちょーだい」
「んん!!」
異常に僕に執着した妹が、怖かった。
※
「やっと来たのか出来損ないが。早く入れ」
「兄さん」
「身に付けてるもの全て脱げ、さっさとしろ」
「…はい」
躊躇してたら殴られる。
この命令は初めてじゃない。
最初は凄く反発した。
反発した分、殴られた。
次第に僕は、抵抗する気力を失った。
「股を広げろ、俺がちゃんと見えるようにな」
「……はい」
「良い子だ。」
兄さんは人間の身体というものに興味があるらしい。僕の身体の隅々を観察して、嗅いで、触れて、どんな反応をするのかノートに書き留めている。
「ふぅ…あっ、あぁああ!!」
「ふむ。一昨日と比べて1.6倍、粘膜に粘りけがある。何故だ」
「し、知らな…」
「やはり昨日、回数を減らしたからか。明日は限界まで快楽を与え続けてみよう。結果がどうなるか楽しみだ」
「ヒッ」
どんな形でもいいから、必要としてくれる人が欲しかった。
どんな些細なことでも必要としてくれる人が。だから僕は、逆らえない。
学校での僕も劣等生だ。
「お前の顔は醜い、周囲に晒すのも恥だ、絶対に外出中はこの眼鏡は外すな。」
「はい、お父様」
「念を入れて前髪でも目元を隠せ」
「はい」
「マスクも外すな」
「はい」
「服を気崩すことは一切許さないからな。」
「はい、行って参ります」
学校に、行きたくないな。
だって…。
「おい、ダサ男。また牛乳瓶みたいな眼鏡かけやがってよぉ」
「………。」
廊下の窓側で群れているガラの悪い人達が僕に気づく。無視だ。無視をしよう。
そう自分に暗示をかけながら教科書を抱き締めるように強く握る。
「まあガリ勉にはお似合いだよな。ギャハハ」
「………。」
我慢だ。もう少しで通りすぎる。
「おいおい、無視かよ良い度胸してんなお前」
「っ…」
急に胸ぐらを掴まれ後方へ投げ飛ばされる。
バラバラと音をたて散らばる教科書。
僕はドスンと鈍い音をたて、臀部を打ち付けた。ジンジンとするお尻の痛みよりもこの人達が怖くて。次に何をされるかと恐怖に怯える。廊下を通る人達のバカにしたような笑い声や関わりたくないという風に目を逸らす人達。学校に行っても、僕を味方してくれる人は誰1人としていないのだ。
「今日放課後、必ず校舎裏に来いよ」
群れの1人が吐き捨てるようにそう言った。
結局これはいつものことだ。
昼になれば購買でパシリに使われるのは当たり前。お金は僕の所持金から出している。幸い、家が金持ちだからお金に困ることはないけれど。それが目をつけられたうちの理由の1つだった。
金食い虫が。そう父に言われたことがある。
僕は正直、お金なんていらない。ただ、僕を1度で良いからー愛して。
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