第4章、南国土佐に着く

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第4章、南国土佐に着く

飛行機の窓から見える下界 上から見下ろす雲の白さと青色の空 もうすぐ高知に着く 私の横の座席には茉莉ちゃんが眠っている 私は旦那に事のあらましを説明し 一週間、高知に行く事を説明した 予想通り猛反対された 「正気か、本当にその子の事を信用して 俺をほっといて二人で高知のその村まで行くのか!?」 普通の反応である 愛する妻が最近できた友達の言葉を信用し 旦那を置いて高知まで行く 妻の神経を疑われてもしかたがない。 私は旦那からすれば頭のおかしい女と思われてもしたがない 自分でもどうしようもない女であると思う 正気の沙汰ではない自覚もある それでも旦那は仕事があり一週間も高知旅行はできないサラリーマンの立場 温厚な夫とは喧嘩にはならなかったけど私は呆れられた 旦那には男泣きされたけど 私の事を愛して信用してくれた だから最後には高知行きを許してくれた 毎日電話連絡をする事を条件に 私は旦那の前で号泣して許して貰った 今回の件 私の気まぐれな旅行ではない 魂の疼き、私は茉莉ちゃんとそこに行かなければいけない運命を知っている 理屈ではない、魂が呼ばれている事を、 それを旦那にいくら説明しても分かってはもらえない 友達にも、誰に説明しても絶対に分かってもらえない筈 それは自分でも理解してる 一方的に私に非がある事も しかも夫婦で呼ばれているのではない 私だけしか行ってはいけない場所である 選ばれたモノしか行けない場所がある もし旦那が一緒に行けば旦那は命を落とす事になる 確実な予想、確固した確信がある。 「いざなぎ流陰陽師の継承者」 茉莉ちゃんは私にこう言った 私はオカルストではないが 女である 自分の女の直感は絶対に当たってる もうすぐ高知竜馬空港に着く いざなぎ流の呪いを使えるモノ 私はネットで散々調べた 茉莉ちゃんは憑坐(よりまし)で そして私は「いざなぎ流祈祷師」の血筋らしい 「因縁調伏」の術を使える血筋のモノ 誰がこんなものを望むものか 私は普通の主婦がいい 裕也の妻で一生平凡に暮らしたい でも、夢で出てきた「お婆さん」 私には使命がある こんな世の中になったのは偶然ではない 全て計画された「グレートリセット計画による人類削減を意図した騒動」 そして私には 人間側でありながらにも関わらず世界の金融を牛耳っている人間が 傲慢にも地球外生命体と手を組んで このコロナ禍を巻き起こした邪悪な者を因縁調伏する仕事がある事を理解した 私はこれから夢に出てきたお婆さんに会いに行く 私にどうしろというのか 正直な感想は「私に知るか!」である 私の今までの人生、別段特別な不思議な能力を持った人間ではない 普通で、しかもかなり地味な人生を歩んできた普通の女である そして二年前に結婚して専業主婦として普通の人生を歩み始めたばかりである そんな私に夢にまで現れて、茉莉ちゃんという若い子を寄越して 私に選択肢を与えず埼玉から四国の高知まで来させた事 つまらない理由ならば私はすぐ埼玉に帰るつもりである 大切な夫を一人残してこんなとこまで来させた事 私の幸せな生活を一週間でも壊した事 運命よりも 今の私にとっては理不尽な経緯に対しての怒りしかなかった。 高知に近づく毎に私は不思議なデジャヴに襲われる 私は生まれも育ちも東京 結婚後の新居は埼玉 旅行でも四国には来た事がない 関東圏しか行った事が無い なのにこの懐かしさは何? 初めて行く土地なのに不安感よりも郷愁感の方が強い 隣の茉莉ちゃんが目を覚ました 「もうすぐ高知に着きますよ」 私は今まで理不尽は経緯に対しての怒りと不安に苛まれていたが 飛行機が低空飛行となり着陸準備に入り 高知の街並みが見えてきた頃には すっかり、漸く帰ってきた変な感慨を持ち始めていた。
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