第6章、母親の過去

1/1

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

第6章、母親の過去

優希の母親である綾子は優秀な「いざなぎ流祈祷師」だった 特に綾子の操る「式王子」という綾子の後ろ盾となる神霊が強力であった。 修行で得た力でなく持って生まれた能力であった 天神・犬神・猿神・長物神の様々な神霊が綾子に憑いていた 綾子は高校生の時から祖母の仕事を手伝いながら 頼まれれば自分の意志で神祭り時に妨害しようとしてくる悪霊を防ぐ事と 病人祈祷の際に原因が疾患でなく障りの場合のみ 霊や「呪詛/すそ」を追い払う「いざなぎ流祈祷師」として仕事のみしていた。そして高校を卒業して村の若者と19歳で結婚し 妊娠して優希を生んだ 綾子は子育てしながら上記の二つの仕事をして 村の人達からも感謝され綾子自身も幸せな時期を過ごした だけども本人も祖母も自覚してたように 本当に強力な綾子のいざなぎ流祈祷師の能力は 「調伏返し・呪詛返し」である他人から寄せられた「式王子」や その他の「呪詛」を相手に戻して逆に相手に復讐する術である。 そして綾子が6歳の優希を連れて村から出て行った原因 それは綾子自身が最もやりたくなかった 他人に災厄を与える「因縁調伏・呪い調伏」をしてしまい 人を呪い殺してしまった後悔からであった。 綾子と綾子の夫に式を打った者は綾子の人気・幸せを妬んだある女から 多額を金額を貰い、金に目が眩み綾子と綾子の夫を呪詛してきた 多少は腕に覚えのある「いざなぎ流祈祷師」であった。 その息子は綾子の娘、優希の友達である父親であった。 その結果、綾子の夫は死亡し娘の優希は綾子の神霊が強すぎる為に 綾子の代わりに最も弱い6歳の自分の娘に呪詛がきて それが原因で命を失う事は無かったが両脚を壊疽で失う災難に遭わされた 自分の夫を呪詛して死に追いやり しかも幼い自分の娘の優希の両脚も失ったしまった怒り悲しみ 綾子は自ら禁じていた「因縁調伏と呪詛返し」を行い 自分でも制御できない程の怒りにより因縁調伏で相手を殺してしまった 敵対する女と式を打った男と、 そしてその息子である自分の娘の友達である光一君という6歳の男の子も 巻き沿いにしてしまったのである 光一君に対しては「呪詛返し」の事故ではあったが 調伏返しが大人のその男に効かなかった代わりに 弱い6歳の男の子の方に呪詛が返っていった 自分の中に流れている「いざなぎ流陰陽師祈祷師」の汚れた血に対して 幼い娘を抱えた身である自分は自決する事も出来ず この村から逃げるように去って行かざる得なかったのである お婆さんからこの話しを聞いていた優希 呆然としていた 光一君、この名前、憶えている 深い所に仕舞込み鍵をかけていた記憶 私、足あるよ、、 お婆さんがすかさず補足説明する 「優希の両脚はな、優希のじゃないんじゃよ、 その脚はな四つ脚憑きからの借り物なんじゃよ」 隣に座っていた茉莉ちゃん 倒れそうになっている優希を支えるようにしていた 「茉莉も儂の孫じゃ、いざなぎ流祈祷師には能力は無かったが 優秀な憑坐じゃよ」 お婆さんは優希に言った 「さあ、今日は辛い話しを聞かせてしまって申し訳なかったな 隣の部屋にご飯の用意が出来てるから茉莉と一緒に食べなさい お風呂の用意も寝床も茉莉が準備してくれる 儂もしゃべり疲れたので、もう寝るから」 私は呆然としていた 体から力が抜けていく
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加