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5話 夢
私の朝は忙しい。
何が忙しいかと言うとまず起きるのが4時30と、
高校生にしては早い。
起きるとまず制服に着替え、歯を磨き顔を洗う。
そして朝食、お弁当を作りながら溜め込んでいる深夜アニメを観る。
それが私の朝の日課だ。
やる事を全て終わらせると、すぐ電車の時間になる。
駅は徒歩5分の距離にあるから意外と近い。
電車に乗り2駅後に学校に1番近い駅である札幌駅に着く。
駅に着くと歩いて学校まで向かうのだ。
学校は近いので通いやすかった。
学校に着き教室に向かうと前からものすごいオーラを放った人が歩いてきた。
「おはよう」
「お、おはようございます……」
すれ違う時に挨拶をしてきて分かった。
彼女は西園寺璃音だった。
私は彼女に少し憧れを抱いていた。
(やっぱり美人だなあ)
先輩は歩き方まで優雅で尊い存在と改めて自覚した。
教室に入るとそこには姫乃がいた。
「姫乃おはよう〜」
「あやおはよぉう!」
姫乃は私に抱きついてきた。
「あのさあや……」
姫乃は急に深刻そうな顔をして私の前に立った。
「な、なに?」
姫乃の表情、雰囲気は今まで感じたことの無い恐怖感があった。
「あ、あのね……お願いがあるの!」
私はゴクリと唾を飲み、覚悟を決めた。
「お願いって?」
「一緒に寿司屋でバイトしてください!」
(寿司屋? 寿司屋ってあの寿司屋だよな)
姫乃が真剣な眼差しで言うから私は理解に時間がかかってしまった。
「バイト?」
「うん! 私小さい頃からお寿司が大好きでね、だから高校生入ったら絶対お寿司屋さんでバイトするって決めてたんだ!」
楽しそうに話す姫乃を見て私は少し惹かれていた。
「バイトするのはいいけど、確か校則で飲食店はダメじゃなかったっけ」
この学校の校則は緩いので有名だ。
だがバイトにだけは厳しかった、
私達の学校の生徒は美男美女が多くナンパされる事が多いという事から、飲食店でのバイトは禁止されている。
「そうだけど、私は諦められないの!」
姫乃の本気がものすごく伝わってきて断りずらくなっていた。
(姫乃を止めないと姫乃が停学とかになっちゃう、それは嫌だけどこんなにも本気でやりたがっているのを止めるのも……)
「やっぱりダメだよ……ね」
「姫乃……」
姫乃は本当に寿司屋で働きたいんだな。
「よし! 学校に内緒でバイトしよ!」
私は姫乃の押しに負けてしまったのだ。
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