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 新しい納骨堂の中は清潔で、電灯をつけると明るく、爽やかな印象だ。ずらりと並ぶ扉の向こうにお骨が納められているが、基本的には骨壺の状態でお越しになるし、手を合わせる時には自動搬送式のベルトコンベアで共用仏壇の前に持ってくるので、孝彦が直接触れることはない。  孝彦はここにいつかネットドラマで見たフィットネスジムの女子ロッカーのイメージを重ね合わせていた。違いは大きな共用の仏壇があるかないかだ。  参拝客は減少傾向だ。  そもそも納骨堂にお骨を納めようと考えるご遺族は墓の管理に積極的ではない。  理由はさまざまだろうが、大きく分けて三つ――まず墓の後継者がいない、次に霊園の土地がいっぱいで墓を建てられる場所がない、そしてご遺族も高齢者が多くてまめな手入れが難しい、だ。  まして感染症のリスクもあるとなれば大規模な法要を営むことはどんどん厳しくなっていく。  それでも無理をして墓参りをしたがるご遺族もいる。  その需要に応えて、会社はこのたびあるサービスを始めた。そして、この納骨堂のウリとして大々的に宣伝することに決めた。  オンライン会議アプリを使った法要の配信サービス、その名もずばりオンライン墓参りだ。  納骨堂の管理者が、個人壇を自動搬送機能で共用仏壇の前に持ってきて、ビデオ通話機能を使って骨壺を撮影する。法要参加者はビデオ通話画面の向こう側で仏様に手を合わせる。僧侶も寺で読経して配信する。  孝彦は躊躇せずこのサービスを請け負った。  直接納骨堂に来た参拝者をもてなすより、パソコンとカメラを設定して何をするでもなく見守るほうが、一千倍も一万倍も気が楽だった。  孝彦もインターネットネイティブだ。友達がいないのでこの仕事が始まるまで実際にオンライン通話をしたことはなかったが、検索すればだいたいのことはわかる。  設定するのはさほど難しいことではなく、納骨堂側としては、かなりスムーズにサービスの提供を開始することができた。  参拝客の側も、自らオンライン墓参りを選ぶ人たちはそれなりにネットを使える。ある家は息子や娘が設定してくれたし、ある家はパソコン通信の時代だったからと言って自ら設定していた。
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