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紙袋を篠田さんに手渡し、苦笑いを浮かべて、白坂さんの背中はどんどん小さくなっていった。
篠田さんも眉毛を八の字にして悲しんでいるようだった。きっとたくさん話したかったに違いない。僕はクラスにいる篠田さんの姿を思い出せないけど、おそらく白坂さんたちと学生生活を満喫していたはずだ。
「じゃあ、僕も行くね。お大事に」
ここにいても、僕ができることはもうない。それに、僕はここに来て、篠田さんに会うというお見舞いの目的はもう果たされている。
なるべく篠田さんの表情を見ず、長く続く廊下の先を見つめた。
「まって」
小さく、でも鋭い声が僕の足を止めた。
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