初恋

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 私たちの高校はミッション系の、いわゆるお嬢様学校だ。  けれど、全員がお嬢様なわけもなく。  私は第一志望の進学校に落ち、滑り止めとして入った。  もちろんお嬢様などではなく一般家庭だ。  綾はスポーツ推薦で入った。  綾もお嬢様という言葉とは無縁だ。  同じクラスになった私たちだけど、初めは立場もグループも違っていて仲良くなることはなかった。  入学早々、級長を勝手に拝命された私。  授業中はほとんど居眠りしている綾。  全く、何しに学校に来ているんだか。  あ、部活か。  綾は、陸上部に所属していて、種目は走高跳び。  ある日の放課後、教室の窓から見かけた綾のジャンプが忘れられない。  綾は、背も高くて、スポーツが出来て、髪型がショートカットで。  女子高において、モテる要素が備わっていたから。  一学期の終わりには既にファンクラブ的なものが出来ていた。  ショートカットの生徒は、運動部のごく一部、数人しかいない。  校則で、ショートカットは禁止だったからだ。  それもどうかと思うけど、堂々と校則を破るのもなかなかのものだ。  毎回、生活指導の先生に髪型指導をうけていた。  そんな、ちょっと悪い感じもモテる要素なのか。  クラスの中には怖がってる人もいて、行事にも積極的ではなかったし。  級長としては迷惑なクラスメイトだったけど。  気になる存在ではあった。  わざと居残って、こっそりジャンプを見る程度には。  それが恋だと気付いたのはいつ頃だったか。  仲良し、とまではいかないが  少しずつ交わす会話で近づく距離。  居心地の良い空気。  それなりの絆。  告白する機会は何度かあったが、それはしなかった。  この関係を壊したくないと思ったから。  近くにいられるなら、友達のままでいいと思ったから。  けれど、卒業してしまったら、会えなくなる。  綾は、まめに連絡なんて取らないだろうから、このまま、友達として何年かに一度の同窓会で会えればいい方だろう。  だったら。  どうせ会えなくなるなら、玉砕覚悟で告白してみようか。  そう思って誘ったデートだった。  いや、デートと思っているのは私だけだけど。  私の第一志望の大学の、合格発表のニ日後だったから、綾は「祝勝会だね」と言っていた。  けれど「残念会」になってしまった。  そう、私は、またしても第一志望に落ちたのだ。
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