初恋

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 女の子たちが去っても、動くことが出来なかった。  綾も、座ったままだ。  このまま帰ってしまおうかな。  もしも、私がこのまま帰ってしまったら、綾はどうするだろう?  そんなのわかりきってる。  ずっと待ってる。  綾は、そういう子だ。 「お待たせ」 「あぁ、おかえり」  なんで、そんな笑顔で言えるんだろう。 「ごめん、遅くなって。待っててくれてありがとう。帰ってこなくて心配じゃなかった?」 「そんなに観覧車が嫌なのかぁとは思ったけど、絶対戻ってくると信じてたから」 「あぁ、うん。それもあるかな。高いところダメだし」 「無理に乗らなくてもいいよ」 「そうだね、話したいことがあったんだけど、観覧車の中ではそんな余裕ないと思うから」 「じゃ、観覧車を見上げながら、聞こうか」 「あぁ、うん。えっと。今日はありがとう!楽しかった」 「私も楽しかったよ」 「良い気分転換になったし。綾が聞かなかったから言わなかったけど、実は第一志望の大学、落ちたんだ。さっきも電話で親に散々言われた」  綾は笑顔から真剣な表情になった。 「何か言われたの?」と聞いてくれる。 「大学落ちたくせに何遊んでるんだ。みたいな」 「酷いな、しょうは頑張ったんだから、堂々と遊べばいいよ。しょうが頑張ってきたこと、私が知ってるから」 「親にとっては結果が全てみたい」 「私からしたら、第二志望でも凄いところだけどねぇ、優等生は辛いね」 「優等生なんかじゃないよ。でも、ありがと。綾のそういうところ、好きだよ」  あぁ、やっと言えた。  綾が好き。  返事がないから、もう一度ちゃんと言った。 「うん、知ってる」  綾は静かに答えた。
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