無整路

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 それから、一夜にして変わってしまった街を出た。  予想はしていたが、街の外も酷い有様だった。コンクリートに囲まれた街の影はどこにも見当たらないどころか、緑豊かな自然すら見かけなかった。  行く先はどこも渇いた茶色い大地ばかり。かろうじて街があったと思える場所に辿りついて、わずかの可能性にかけて人を探した。どこも同じだった。街に流れる風の音だけが木霊し、家の中にも砂が入っていた。  成り行きで人のいそうなところを探す旅を始めた。街を巡る度に落胆する日々は辛く、孤独だった。つい最近まで毎日のように仲間と一緒にいたのに、遥か遠い昔話みたいに思える。  これからどう生きていけばいい……。嫌がらせのような連日の熱気にうなされながら、道のない道を走り続けた。
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