無整路

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 旅を始めて一年くらいたった頃だ。  灼熱の大地のサバイバル生活にも慣れ、むさい自分の姿も板についていた。トカゲやクモ、名前も知らない木の実を腹の足しにした。  日々を生き抜く中、とある外国の街に辿りついた。人がいるなんて期待はもう微塵もなかった。  飲み食いできる物、必要なバイク部品、使えそうな物があるか。ガラクタに眠る宝探しのスポットでしかなかった。その街にいたのが小学生くらいの女の子だった。  女の子は一人で暮らしていたようだ。外観はボロ家そのものだったが、内装は形を残していた。  女の子は自分の部屋らしい場所を住処にしていた。缶詰が床に転がり、虫が飛びかっていた。劣悪な環境でよく生きていられたなと感心しながら、おずおずと女の子に色々聞こうとした。  女の子は汚らしいベッドの上で体を小さくし、俺を値踏みするように視線を這わせるばかりだった。俺は外国の言葉を使えない。つたない片言の英語で話しかけても、何も反応してくれなかった。
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