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「えっ? まさか……これ全部、俺一人で入れるの?」  無視してやった。 ――地味な作業をコツコツと繰り返す六本木。二時間後。六百本のココアは全て投入された。 「あぁ……終わった。じゃあ一眠りしようかな」  ヒグマのように大きなあくびをする六本木。呑気な様子に腹が立ったので、ふくらはぎに、強めの蹴りを入れた。 『なにのんびりしてやがる。早く学校へ行ってこい。おっと! その前に水圧を弱めろよ。このままじゃドリンクバーの機能を果たせん』  すっかり明るくなった周囲を見回す。しかし、作業員達、今日は遅いな。ま、都合いいけどな。 「眠いよぉ……」  六本木は、のそのそと戦車の側面へと移動し、備え付けのハッチを開ける。その中にあるレバーを、力強く左に倒したのが見えた。 「ちょっと試してみようか?」  俺の許可もなしに、レバー横のボタンを押す。蛇口から流れ落ちるように、ポタポタとココアが地面へと滴り落ちた。
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