4/5
前へ
/25ページ
次へ
「よかったよかった。じゃあ、俺は事務所で冬眠してくるよ」 『おいこら待て!』  隙あらば逃げ出そうとする六本木の胸ぐらを掴む。 「そうやってすぐ暴力に訴えるのはやめようよ? 一時間だけ寝させて? もう、意識が朦朧(もうろう)としているの」  顔を歪ませ懇願する六本木。バカかこいつは。 『その間に、ココアが放水されたらどうするんだよ!』  俺の称号を、掃除のために使われてたまるか! 「大丈夫。今日は工事しないからさ」 『今日は水曜日だぞ!』  俺の言葉に、指を振りながら六本木は答えた。 「うちの社長がさ、本社から視察に来るんだよ。だから、工事を止めないと……なんかあったら危ないじゃん?」   物分かりの悪い子に言い聞かせるような口調に腹が立ったので、六本木の指を九十度、上に押し上げた。 『じゃあ、お前以外は休みか?』 「痛い監督の亀さんと痛いトワ君は痛い来るよ痛い」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加