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「……戦車型放水機。アレを持ってくればいいのね? なんか掃除するの?」  柿のように、真っ赤に顔を腫らせた六本木が、覇気のない声で言った。  六本木の言っている戦車型放水機とは、工事で汚れた現場内を洗うため、この現場の責任者である亀井が買ってきた物だ。名前が長いから、みんなと呼んでいる。ちなみに価格は五千万。 『そんなわけないだろ。ふざけたこと抜かすと、お前を掃除するぞ?』 「お、落ち着いてよ。持ってくるよ……」  そう言い、六本木は、いそいそと戦車を取りに行った。 ――五分後。  六本木が、戦車を事務所の前まで運転してきた。誰もいない、夜明け前の工事現場で、カラーコーンを薙ぎ倒しながら走り回る光景は、さながら戦場のようだ。洗浄だけにな。
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