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「ただいま参りました! であります!」
砲台の横にある出入り口から顔を覗かせ、軍人のように敬礼する六本木。盛大に滑ってるぞ。
『とっとと降りてこい。早くしろ』
「急かさないでよ……よっと……あ、あぐはっ!」
六本木が、戦車から転げ落ちた。
『おい、なに遊んでんだ!』
「いたた……ちょっとは心配してよ……で、これでなにをするの?」
尻を押さえながら、涙目になる六本木。その姿がツボに入った。
『こ、子供たち……ぶふっ、に……夢をあ、与え……ぶふっ』
「なに笑ってんの。意味分かんないよ」
真顔で抗議する六本木の姿が、さらにツボに入った。
過呼吸に陥った俺は、しばらく口を開くことができなかった。
――五分後。
『はぁはぁ……俺の家にはな、ココアという飲み物がいる。そいつが困った奴でな。なにがって、引きこもりなんだ』
「知ってるよ。全然売れてないよね。ここの作業員達は、甘い物飲まないからね。仕方ない」
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