4/7

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「ただいま参りました! であります!」  砲台の横にある出入り口から顔を覗かせ、軍人のように敬礼する六本木。盛大に滑ってるぞ。 『とっとと降りてこい。早くしろ』 「急かさないでよ……よっと……あ、あぐはっ!」  六本木が、戦車から転げ落ちた。 『おい、なに遊んでんだ!』 「いたた……ちょっとは心配してよ……で、これでなにをするの?」  尻を押さえながら、涙目になる六本木。その姿がツボに入った。 『こ、子供たち……ぶふっ、に……夢をあ、与え……ぶふっ』 「なに笑ってんの。意味分かんないよ」  真顔で抗議する六本木の姿が、さらにツボに入った。  過呼吸に陥った俺は、しばらく口を開くことができなかった。 ――五分後。 『はぁはぁ……俺の家にはな、ココアという飲み物がいる。そいつが困った奴でな。なにがって、引きこもりなんだ』 「知ってるよ。全然売れてないよね。ここの作業員達は、甘い物飲まないからね。仕方ない」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加