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二度目の唯の家に来た。
相変わらずドアマンもいて、一般人とはかけ離れた生活だと再認識した。
「ほら、入れよ」
「…」
お邪魔します、と心の中で呟き、以前来た部屋を見渡した。
こんなに広い部屋にたった一人で住んでいて寂しくはないのだろうか。
唯は乱暴に背広を脱ぎ捨て、私の手を掴む。
急に掴まれるものだからびっくりして肩が揺れた。
「な…っ…」
「寝室、そっちだから」
「…嫌」
「は?」
「こんなことだけのために呼ばないでよ」
「…」
「私は…―唯の、何?」
涙目になりながら私は言った。
愛のないその行為にうんざりとする。”普通”の恋って何だろう。
唯のせいで青春っぽい恋愛もできなかった。大学生になったって、同じだった。唯の暇つぶしでしかないんだ、私は。
いつだって
いつだって…―そうだ。
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