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「遅い、」
今度は唯の声が鼓膜を揺らす。
「遅い。もっと早く言えよ」
「それはこっちのセリフ」
「じゃあ、お互い様ってことで」
唯がどんな表情をしているのかはわからなかった。
でも、周りに人がいるのにこんなに強く抱きしめていつもなら恥ずかしくてこんなことは出来ないのに
今はそれよりも嬉しさのほうが大きかった。
「唯、」
「何」
「そろそろ離して」
「嫌だ」
「そう」
私も唯の背中にしがみつくように腕を回す。
涙が止まらないのも全部唯のせいだ。
いつだって、私は彼のせいで感情を揺さぶられる。
いつだって。
「唯、好きだよ」
そういうと、彼はふっと笑って言った。
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